炎症が体を守る大切な仕組みだということを前回のブログでお話ししました。では、今回は炎症がどのように進んでいくのか、その時間の流れに沿ってお話ししていきます。科学のお話にはなりますが、今回も分かりやすくご説明させていただきます。

炎症のはじまり~古代の知恵から学ぶ~
昔、古代ローマの学者ケルススは炎症の特徴を4つにまとめました。これを「炎症の4徴候」といいます。
・発赤(ほっせき):皮膚が赤くなる
・腫脹(しゅちょう):腫れる
・発熱:触ると熱い
・疼痛(とうつう):痛い
その後、ガレーノスという学者が「機能障害」を加えて「5徴候」と呼ぶこともあります。たとえば、ケガをした手が思うように動かなくなるのが機能障害です。
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炎症が始まるとどうなるの?
炎症は、体が危険を感じたときにすぐに始まります。例えば、転んでひざを擦りむいたときのことを思い出してください。その瞬間から、体の中では様々な物質が出てきて傷を修復しようとします。
①秒単位の反応:はじめの一歩
血管の中にある「凝固因子」や「キニノーゲン」という物質が登場します。これが血液を固めて傷をふさいだり、赤く腫れたりする原因になります。その中でも「ブラジキニン」という物質が、血管を広げたり痛みを感じさせたりします。
②分単位の反応:応援チーム
次に「血小板活性化因子」や「ロイコトリエン」という脂質が出てきて、さらに血管を広げたり、血管から液体が漏れやすくなったりします。さらに「ヒスタミン」「セロトニン」「ニューロペプチド」といった物質も加わり、炎症のスイッチがさらにONになります。
③分から時間単位の反応:本格的な掃除がスタート
時間がたつと、「サイトカイン」や「ケモカイン」というたんぱく質がたくさん出てきて、マクロファージ(ゴミを掃除する細胞)やリンパ球(体を守る細胞)を呼び寄せます。この時期は、いよいよ本格的な修復作業が始まるところです。
炎症の仕組みを知ると見えてくること
炎症は、体の中で起きるチームプレーのようなものです。最初は少人数のメンバーで動き出し、次第にたくさんの助っ人が集まって協力して体を守ろうとします。しかし、これが長引くと体に負担がかかってしまうので、バランスが大事なのです。
まとめ~炎症は体の「レスキュー隊」~
炎症は、危険から体を守るために始まるレスキュー活動。始まり方や進み方を知ると、体の中でどれだけ頑張ってくれているのかが分かります。これからも体をいたわりながら、健康的な生活を送りましょう。
(参考元:洋土社「もっとよくわかる!炎症と疾患」)
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