
ストレスが免疫のブレーキになる?
強いストレスを受けたとき、私たちの体の中では複雑な反応が始まります。まず、脳の視床下部がストレスを感知すると、そこから2つの経路で全身に指令が送られます。
・内分泌系(ホルモンによる指令)
・自律神経系(神経を通じた即時反応)
どちらのルートも、最終的に副腎という臓器に影響を及ぼします。副腎は、腎臓の上にちょこんと乗った小さな臓器で、肉まんのように「皮(副腎皮質)」と「あん(副腎髄質)」の二層構造をしています。
ホルモンが動き出す:ストレスの司令塔「脳下垂体」
内分泌系の経路では、視床下部から指令を受けた脳下垂体がホルモン分泌のスイッチを入れます。脳下垂体は、いわば体内ホルモンの司令塔。ここから指令が下ると、副腎皮質から「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
このコルチゾールは、炎症を抑える(抗炎症)作用を持ち、痛みや腫れなどの症状を一時的にしずめてくれます。これだけ聞くと、良いことのようにも思えますが、実はこの抗炎症作用が免疫の働きを妨げてしまうことがあるのです。
ご予約はオンラインからでも可能です。


「火事を知らせるベル」が鳴らない!免疫が止まる仕組み
通常、細菌やウイルスが体内に侵入すると、体は炎症反応を起こして免疫機能を働かせます。ここで活躍するのがサイトカインと呼ばれる物質です。サイトカインは、「ここで炎症が起きてるぞ!」と周囲に知らせる役割を持ちます。
しかし、ストレスで分泌されたコルチゾールは、このサイトカインの働きを抑えてしまいます。つまり、「火事を知らせるベル」が鳴らなくなってしまうのです。その結果、免疫細胞たちは現場に駆けつけず、体内の「炎症の火種」が放置されてしまうという事態になります。
ストレスで「若さの源」も減ってしまう?
さらに悪いことに、コルチゾールが高くなると、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)という物質が減少していきます。このDHEAは、「ホルモンのもと」ともいわれ、テストステロンやエストロゲンなどの若さや元気を生むホルモンの材料です。
つまり、ストレスによって体が炎症にうまく対応できなくなるだけでなく、元気の源まで奪われてしまうのです。
参考元:東洋経済新報社「あなたを疲れから救う 休養学」
コメント